伝説の事業家・小林一三と松岡修造

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関西ではおなじみの阪急電車を創った人をご存知でしょうか。小林一三(いちぞう)という人です。 

ちなみに、私はよく阪急電車を利用しております。 

阪急電車、阪急百貨店などで有名な小林一三(いちぞう)の方針は、 

「自分の計算から出発しない」でした。 

こんなエピソードが伝え残されています。 

梅田阪急の食堂で、カレーライスが大ヒットとなったときのこと。 

当時、学生はカレーライスを買って食べるほどのお金がなかった 

ので、ライスだけ注文し、福神漬を菜にソースをライスにかけて 

食べるのが流行した。 

中には、弁当持参でタダでソースをかけて、福神漬で食べる人 

まで出てきた。 

食堂の係りは困り果て 

「カレーライスの客が食事を終えたあと、福神漬とソースは引き 

上げましょうか」と提案した。 

そのとき係の意見に小林氏は、こう言ったそうです。 

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 そんなケチなことをするな。 
 学生がお金がないのは当たり前だ。 
 そんな学生が遠慮せず食べられるよう、 
 ライスの値段を下げて、 
 福神漬でもソースでもどんどん出してやれ。 
 彼らはいつまでも学生ではないぞ 
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学ばねばならないことばかりです。 

仏教では自利利他と教えられます。 

自分が幸せになりたければ、 

まず他人を幸せにせよと教えられているのが自利利他です。 

「自利」とは、自分の幸せ「利他」とは、他人を幸せにする 

ということです。 

『自利利他』とは、他人を幸せにするままが、自分の幸せになる。 

自分が幸せになれば、一人じめしてはもったいない。 

その喜びから人にも幸せを届けずにおれない。 

自利のままが利他になり、利他のままが自利となるのです。

 

仏教的マインドセットー全ては自分が生み出していることー

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仏教的マインドセットー全ては自分が生み出していることー

「今日出会う嫌な人も、自分が生み出しているのです」
「あなたの世界には何人の人がいますか?実はあなた1人と言えます」
「自業自得が分かれば、現状を受け止め、
 ここからどういう行いをしようかと冷静になれます」

仏教では自業自得という言葉があります。

通常、自業自得と言えば、高カロリーなものばかり食べて

毎晩、飲酒にふけり、ほとんど運動もせず、ゴロゴロして

いたために生活習慣病になった人があれば、

「それは、自業自得だよ」などと、言います。

学生が、試験日が近づいているのに、勉強せずに遊んでばか

りいたら、案の定、不合格になった。そんな場合も「それは、

自業自得だ」と、使います。

もちろん、それも自業自得ですが、善い運命(幸福)の

場合も、「自業自得」と、お釈迦さまは教えられるのです。

NBAワシントン・ウィザーズから全体9位の指名を受ける」も、
「第一志望の大学合格」も、

自分の「自業自得」ということです。

善いことも悪いことも行いのことを「業(ごう)」と

言うのです。

眼の前の嫌な人も、実は自分が生み出していると言えます。

この世界は自分が作っているとも言えます。

世界には何人の人がいるでしょうか。

70億人?

いえいえ、あなた一人です。

自分一人で生み出した世界で私がいるのです。

じゃあ、現状を受け止め、どういう行いをするか

すごく簡単に言えば

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たたかう

にげる

ぼうぎょ
-----------

という選択肢があります。

ブラック企業で苦しんでいる」
ドメスティックバイオレンスで苦しんでいる」

という人は「逃げる」という選択肢を考えるべきと思います。

ブラック企業を退職に向けて転職活動する」
「退職代行サービスに電話する」
家庭内暴力を振るう配偶者と離婚」
「裸足でもいいから家出する」

という行い一つで、自分の運命は大きく変わります。

間違いないのは

「相手や環境が変わって欲しいと思うだけでは
 何も変わらないということです」

これからの世界もあなたが作っていくからです。

 

人間に生まれたとは宝くじに大当たりしたようなもの

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人間に生まれるということはどういうことか。

例えでいうと、「次何に生まれるか」ということが決まる

宝くじ売り場でくじを買い、

ドキドキ・ワクワクしながら

結果を、当選番号が書かれた新聞で丁寧に調べ

「やったぁぁぁああああー、
 人間にあたった、次は人間だー」と

喜びの涙を流しながら、「人間」というくじを当てたようなものです。

同じ時期に、くじをひいたものたちは

「ゾウリムシ」
「ねずみ」
「蟻」

など様々なものに、決まり、それぞれの生へと旅立っていきます。

確率から言えば、人間に生まれるなんて、ありえないことです。

昆虫だけで言っても、

イギリスの昆虫学者 C・B・ウイリアムスによると、

地球上の昆虫の数は約100京匹だそうです。

京というのは兆の一万倍ですから、気が遠くなります。

大体の人は、昆虫、海の微生物に生まれて弱肉強食の世界

に飛び込みます。

少々幸運なものが、ライオンや狼となって、弱い動物を

追いかけ回す側になれるかもしれません。

遺伝子工学の第一人者、村上和雄筑波大学名誉教授は

「この世に人間として存在していることは、

1億円の宝くじが百万回連続で当たったほどの幸運なのだ」

とも語っていますが、確かにそうだと言えます。

年末ジャンボ宝くじの一等賞でさえ、2000万分の1です

ので、その比ではありません。

だから全ての人は、生まれる前に、

その大変な確率で、当たりくじを当てることができたのです。


しかし、現実宝くじは、くじにあたっただけでは、ダメです。

実際の宝くじの券自体はだたの紙切れに過ぎません。

食べることもできませんし、鼻をかむのにも小さすぎて不便です。

どれだけ当たりくじを眺めていても、何も起きません。


当たり前ですが、換金しなければならないのです。

日本で高額当選をした場合の換金方法ですが、5000万円以上

の場合は最寄りのみずほ銀行本支店に持って行って下さい。

そこで、一生かかっても使い切れなさそうなお金を手にいれる

ことができます。


実は、人間に生まれたことは、確かに宝くじに当たった以上の

ことなので、大変に喜ばねばならないことなのですが、

その当たりくじをどこに持っていけばいいのか、それを知らない

人が多くあります。

途方にくれて、

当たりくじをじっと見つめていても、何も起きません。

当たりくじの成分を調べても、何も分かりません。

宝くじの歴史を調べても、納得はありますが、喜びはありません。


さらに当たりくじであるはずの人間に生まれると、

色々な困難苦難に見舞われます。

朝から晩まで身を削って働いている人もあるでしょう。

私の人間という命、大切な当たりくじを維持するだけでも

大変です。

そして、何と当たりくじを固く握りしめたままで人生を

終えてしまう人もあるのです。


そんな私達に、仏教は、

「人身受け難し 今已に受く」(お釈迦様)

「生まれがたい人間に生まれることが出来て良かった」

という喜びがあるのだと教えられています。

その当たりくじをどこで喜びにかえることができるのかを

学んで頂きたく思います。

ハーバードの教授が語る・人生で大事な3つのこと

今日から学校・授業が始まったという人も多いのではないでしょうか。新しい人生の始まりにクレイトン・M・クリステンセン(ハーバード・ビジネス・スクールの教授)の話を紹介します。

世界で最も影響力のあるマネジメントの権威50人「Thinkers50」の第1位に選出されながらも、ガンにかかり、余命幾ばくもない教授の話には重みがあります。

クリステン教授は
「本当にやりたいことを見つけ、人生を本当に充実させる」
ために、3つのことが大事であると言っています。

①意図的戦略
創発的戦略
③人生の目的

です。

①意図的戦略とは、「前々から計画的に準備されたことを着々と進めていくという確固たる戦略」、

創発的戦略とは、「なんやこれ、思ってたのと違うやないか、修正するで、と修正することを恐れない戦略」

です。

教授は1960年代、アメリカでホンダがバイクを売り始めたころのことを紹介していました。

当時ホンダは、
ハーレーダビッドソンのような大型バイクを、日本の安い労働力と技術力で作って売る」
と考えていました。

しかし、アメリカでは、

ハーレーダビッドソンに比べると、大したことない」
という評価で、

さらに
「長時間走行するとオイル漏れを起こす」
という欠陥も抱えていました。

全く売れなかったそうです。

1959年(昭和34年)半年で170台しか売れませんでした。

頭を抱えたロサンゼルス支社は、経費節減に努め、移動

手段は日本から取り寄せた小型の「スーパーカブ」に

なったそうです。

ある土曜日、ホンダ社員の一人がスーパーカブに乗って、

ロサンゼルス西部の丘陵地帯に出かけました。

彼はダートを走り回り、心ゆくまで楽しみました。

次の週末、彼は同僚を誘って気晴らしにスーパーカブを乗り回しました。

社員たちが楽しそうに走り回る様子を見た人たちが、

その「ダートバイク」はどこで買えるのかと尋ねてきました。

別の日に、バイク店の人が

「是非、そのバイクを売らせてくれ」

と言ってきたのです。

最初、このバイクはアメリカで売ってないのだと断っていましたが、

次第に、この小型バイクの魅力に気づいた社員は

「もしかして、大型バイクより、小型バイクが売れるんとちゃうか?」

と気付き、ロサンゼルス支社も

「金が無いから、売れるものは何でも売れ」

と柔軟に方針を変更して、売ったところ、

何と1962年には4万台以上売れ、

アメリカで大ブームを引き起こしました。

ホンダの公式HPには以下のように書かれています。
---------------------------------
当時の総理大臣が本田宗一郎へ面談を申し込んできたのである。

アメリカ大統領と会談したときに

「貴国のホンダは、アメリカ人の生活をすっかり変えてしまった」

と言われたからだという。

アメリカ大統領が外交会談でホンダを話題にしたのだ。
(HONDA公式HPより)
---------------------------------

とあるように、アメリカ人の生活を一変させ、社会現象になるほどでした。

こういう、当初の計画から逸脱するのだけど、

柔軟な発想の変更をしていくことを

創発的戦略というのです。

クレイトン・M・クリステンセン教授は、ハーバード・ビジネス・スクールに来るような人は、

5年間で何をするかなどの、明確な計画を持っている人が多いのだが、

そんなものは、自分のキャリアに変更はないという

思い込みにすぎないと断じています。

「とりあえず実地にやってみて、

 柔軟に修正に修正を重ね、

 本当にやりたいと思えるようなものが見つかったら、

 しっかりと計画を立てていけばいいのだ」

ということです。

しかし、

やりたいことを見つけただけでは、まだ不十分なのです。

さらに、クリステンセン教授は言います。

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「あなたも本書の助言を最大限に活かすためには、人生の目的を持たねばならない」

「わたしにとっては、父親、夫、企業幹部、起業家、

 市民、研究者として生きていくうえで、人生の目的

 をはっきり知ることが欠かせなかった。

 目的がなければ、自分にとって大切なものごとを、

 どうやって優先できるというのだろう?」

「わたしは学生たちに請け合う。じっくり時間を

 かけて人生の目的について考えれば、あとでふり返っ

 たとき、それが人生で発見した一番大切なことだった

 と必ず思うはずだ。そして学校にいるいまこそ、

 この問いをじっくり考える最良のときなのだ」

イノベーション・オブ・ライフ ハーバード・ビジネススクールを巣立つ君たちへ』
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ハーバードのビジネススクールで最先端の若者に、

ビジネスとは何かを教えている教授が、

「人生の目的が大事である」と力説しているのには驚きました。

「やりたいことをやりたいだけやる」のが幸せにつながるのではありません。

人生の目的を知る必要があるのです。

人は何のために生きるのか。

昔も、今も、問い続けられていますが、

東洋哲学、仏教ではこのことが昔から教えられているのです。

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令和になっても、与える人こそ成功する時代

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アメリカの心理学者アダムグラント氏によると、人間は3種類に分かれるそうです。

与えることだけを考えるギバーという人と、与えるより奪うことを考えるテイカー、与えることと奪うことをバランスよくするマッチャーという人です。

さて皆さん考えてください。

これらギバー、テイカー、マッチャーの中で、最も成功しないのは誰だと思われますでしょうか。

なんと、 それはギバーだったのです。

システムエンジニアでも、大学生でも、セールスパーソンでも、相手に与えることを考えるギバータイプの人はいつも割を食っていました。

他人の仕事を手伝いますのでなかなか自分の仕事も終わらず、他人の勉強を手伝っていると自分の勉強が疎かになり、相手に強引に売りつけることもしませんので、成績が上がらず、ギバーはいい人なんだけれど、どの分野でも成績が悪いのです。

そんなことを聞いたら、お人好しはもうやめた、自分のやりたいようにやり散らすぞ、と決意する人があるかもしれません。

しかし、アダムグラント氏は、さらに続けます。

では、最も成功するのはどのタイプでしょうか。

強引に自分の利益を優先するテイカーでしょうか。
バランスよく立ち回るマッチャーでしょうか。

なんと、それもギバーだったのです。

最も成功しない人も、最も成功する人もともにギバーでした。

この違いはどこから来るのか。

成功しないギバーを、自己犠牲のギバーと言います。
成功するギバーを、他者志向のギバーと言います。

違いを3点にまとめます。

自己犠牲のギバーは、自己管理ができておらず
他者志向のギバーは、自己管理ができております。

自己犠牲のギバーは、自分で全部抱え込む落とします。
他者志向のギバーは、他人に任せるのが上手です。
自己犠牲のギバーは、限られた利益を譲ることしか考えていません。
他者志向のギバーは、全体の利益を拡大させようとします。

成功するギバーと成功しないギバーの間には、やはり大事な心がけの違いがありました。

しかし仏教は、さらに先を進んでいます。

自己犠牲のギバーであったとしても、必ず良いたねまけば良い結果が来るんですよ。

良い結果が返ってくるのに、時間差があるだけで、長い目で見れば、必ず返ってくるんですよと教えています。

その時間差が、人間の想像では及ばない長さであることもあるのだよということです。

だから仏教では、無駄になる苦労はひとつもないのだ。

正直者がバカを見ることは、絶対にありません。

大変勇気づけられます。

仏教では因果の道理と言われ、当たり前の事なのです。

是非この仏教の教えを学んでいただきたいと思います。

「◯にたい」と「バカンスに行きたい」は同じ意味

人生は一人旅だと言われています。

そう聞くと、

そんなことはない、

私には親や兄弟、友人知人、妻や子供がいる、
という反論もあるでしょう。

しかし、ここで一人と言われているのは、

友達がいない、
家族も恋人もいない

という意味ではありません。

心のことなのです。

心の底から分かり合える友達がいないということです。

表面上の付き合いはできても、

本当の事を言ったら嫌われてしまいます。

なるべく本心は言わずに、相手に合わせるのが、

無難な生き方です。

だから、表面上の言動だけ見ても、

その人の本心は分かるものではありません。

ある時、

女性から「私は何もかも嫌になって、もう死んでしまいたい」と

悩みの相談をされたことがありました。

しかし、その女性は衝撃的なことを言ってくれたのです。

「でも本当に死にたいんじゃあないんです。

 本当に死にたいなら、一人で死にます。

 私が言う「死にたい」は、「バカンスに行きたい」と同じこと。

 目の前の苦しみから、離れたいだけなんです」

言葉では、「死にたい、死にたい」と言っている人でも、

本心は全く別にあります。

相手の言葉を真に受けていては、相手の心が分からなくなってしまいます。

表面的な言葉や表情、態度からはうかがい知ることのできない心を抱えているんだなと改めて思いました。

仏教で、人間は阿頼耶識と言う、誰からも見られることのない、

垣間見ることもできない蔵のような心を持っているなと言われています。

分かり合いたいのに、分かり合えない。

そんな心のすれ違いを、

感じたことがない人がいないのではないでしょうか。

すれ違いばかりの世の中なので、

自分が悩んでることを分かってくれるとそれだけで幸せな気持ちになります。

朝から笑顔でいても、

実は悩みを抱えている時、それに気づいてくれて

「どうしたの、大丈夫?悩んでる様子だけど…」
と優しく声をかけてくれる人がいれば、どうでしょうか。

さりげない気遣いがどれだけ嬉しいか分かりません。

しかし、

現実では、そこまで私の気持ちをわかってくれる人ばかりではありません。

「どうして、分かってくれないのか」
「なぜ、こんな私の気持ちを逆撫でするようなことを言うんだろうか」
と思うことばかりです。

「分かってもらえない、分かってもらえない」と感じると
自分だけが孤独だと感じると寂しさが倍増します。

しかし、自分だけでなく全ての人が孤独なのだよと仏教で教えられているのです。

よくよく考えてみると私自身も他人のことを分かってあげることができません。

お経には「独生独死独去独来」と言われています。

独り生まれ、独り死に、独り去り、独り来ると、人生はずっと一人ぼっちだということです。

そんな孤独な人生で、心から満足できる幸せを仏教で教えられています。

テキシアジャパン詐欺の手口

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テキシアジャパンホールディングスという会社があり、

その会長である銅子正人容疑者が逮捕されました。

その会社は、

「1口100万円出資すると毎月3%の配当が支払われる」
「1年後には元本を償還するか、引き続き契約を継続するかを選べる」

とうたい、1万人以上の会員から460億円以上集め、それらを

運用して利益獲ているとのことでしたが、それらがすべて嘘で

あったという容疑がかけられています。

愛知県警によると、出資者をランク分けし、

一般会員、エバンジュリスト、マネージャー、ディレクターとして、

出資額によって、分けていたそうです。

昇格すると、配当が増える仕組みで、それぞれのディレクターの

下に、ピラミッド状の会員組織ができ上がっていたそうです。

私の知り合いにも

「元本保証です」
「高額の配当金が獲られます」

という内容に出資すると、しばらく配当があって、そのうち停止し、

元本が返せないと言われてお金が返って来なくて困っている人が

あります。

大事なことですが、世の中の大事な事実を紹介します。

「本当に儲かるなら、銀行からお金を借りて自分でやります」
「リスクがあるから、他人に紹介して、失敗すれば自己責任ですよと言えばいい」

ということを平気で考える人が、沢山いるのです。

素性も知らない、過去もしらない、

本当に信用できるかどうか分からない人間に

お金を出資できるのは、

ひょっとしたら儲かるかもしれないという欲の心からでしょう。

人は欲に殺されるのです。

仏教では「貪欲(とんよく)」と言います。

考えさせられる話を紹介します。

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◇みんな欲に殺される ~あんな広大な土地はいらなかったのだ~

 昔、隣接する大国と小国があった。

 人口が少なく広大な土地が遊休している大国にたいして、

 小国は、人口密度が高く狭小な土地を取りあいコセコセしていた。

 大国の王様があるとき、小国の農民たちに触れを出した。

「オレの国へくる者には、土地をほしいだけ与えよう」

「王様、ほしいほどとおっしゃいますが、本当でございましょうか」

 半信半疑でやってきた小国の農夫たちはたずねる。

「ウソは言わない。見わたすかぎりといっても区切りがつかないから、

 おまえたちが一日歩きまわってきた土地を与えることにしよう。

 ただ一つ条件がある。

 朝、太陽が昇ると同時に出発し、角々に標木を打ち、

 太陽の沈むまでに出発点にもどることだ。

 その間、歩こうが走ろうが、おまえたちの勝手だが、

 一刻でも遅れれば、一寸の土地も与えぬから注意せよ」

 農夫たちは、その広大さを想像して胸おどらせた。


 さっそく一人の男が申しでて翌朝、太陽とともに出発した。

 最初は歩いていたが次第に足が速まり、

 やがて小走りになり、本格的に走り始めた。

 歩くよりも走れば、それだけ自分の土地が広くなるという欲からである。

 当然、標木を打って曲がらねばならぬ所にきていても、

 欲は、もっともっとと引きずった。

 太陽が中天に輝いていることに驚き、標木を打って左へ曲がって走った。

 昼食も走りながらすませる。

 午後は極度に疲れたが、服も靴も脱ぎ捨てて走った。

 もう夕陽になっている。

 足は傷つき、血は流れ、心臓は今にも破裂しそうだ。

 しかし今倒れたら一切が水泡になる。

 彼は出発点の丘をめざして必死に走る。

 そのかいあって、太陽の沈む直前に帰着したが、

 同時に彼はぶっ倒れ、後はピクリともしなかった。

 王様は、家来に命じて半畳ほどの穴を掘らせ、

 農夫を埋めさせて、つぶやいたという。


「この農夫は、あんな広大な土地はいらなかったのだ。

 半畳の土地でよかったのに」


 農夫だけではない。みんな欲に殺されるのだ。